
最近、昔のテレビドラマ
『GOOD LUCK!!』を見ています。
木村拓哉さんがパイロットを演じた
2003年のドラマです。
若いパイロットの新海と
堤真一さん演じる厳格なパイロット・香田。
二人のやり取りを見ていて
最初は香田の厳しさが
どうにも納得できませんでした。
そこまで厳しく
言わなくてもいいのではないか。
そんなふうに感じていたんです。
でも見ているうちに
少しずつ印象が変わってきました。
航空機は何百人もの命を預かって
空を飛んでいます。
パイロットだけではありません。
客室乗務員、地上スタッフ、整備士。
多くの人がそれぞれの仕事に責任を持ち
一つのフライトを支えています。
後になってパイロットには身体面でも
厳しい基準があり
健康状態や技能を維持し続けることが
求められると知りました。
ドラマだから大げさに描かれている部分も
あるのでしょう。
それでもあの厳しさの背景には
人の命を預かる仕事ならではの
責任があるのだと
少し理解できた気がしました。
このドラマで
特に心に残った場面があります。
物語の終盤、第9話。
大けがをして入院した新海の
見舞いに行こうとしない香田を
黒木瞳さん演じる富樫が叱る場面です。
新海は厳しい香田に何度も反発します。
けれどただ反発して
終わったわけではありません。
自分とは考え方の違う香田を
理解しようとしていた。
富樫はその姿勢に気づいていたんですね。
この場面を見たとき
私は思わず唸ってしまいました。
新海が香田を理解しようとしていたことも
もちろん素晴らしい。
でもそれ以上に心を動かされたのは
新海のその変化を見ていた
富樫の存在でした。
富樫は香田の厳しさの背景も理解している。
そして香田に反発していた新海が
その相手を理解しようとし始めたことにも
気づいている。
いったい普段から
どれだけ相手のことを見ていたら
そんな小さな変化に気づけるのでしょうか。
私は
「ほめ育」という人材育成の
考え方を学んでいます。
そこに
「1mmの成長に気づく」という
言葉があります。
大きな成果を出したとき。
難しい仕事をやり遂げたとき。
そうした成長は
比較的わかりやすいものです。
でも人の成長はそれだけではありません。
これまで反発していた相手の話を
少し聞こうとした。
苦手だった仕事に
自分から取り組んでみた。
いつもなら誰かのせいにしていたことを
今回は自分のこととして考えてみた。
そんな変化は数字にも表れませんし
本人が口にするとも限りません。
忙しい毎日の中では
見過ごしてしまいそうです。
富樫が気づいたのは
そんな変化だったのではないでしょうか。
そしてここで一つ考えさせられました。
1mmの成長に気づくには
その前の姿を知っていなければならない。
以前はどうだったのか。
何に悩んでいたのか。
何を大切にしているのか。
そうしたことを知らなければ
変化そのものに気づくのは難しいでしょう。
もちろん相手の本心を
完全に理解することなんてできません。
でも理解しようとすることはできる。
それは新海が香田に向けた姿勢と
富樫が新海に向けた姿勢に
共通するものです。

この場面を見ていて
もう一つ思い出した動画があります。
デレク・シヴァーズのTEDトーク
「社会運動はどうやって起こすか」です。
野外フェスで一人の男性が突然踊り始めます。
最初はただの変わった人に見える。
でもそこにもう一人
一緒に踊り始める人が現れます。
やがて三人、四人と増え
大勢の人が踊り始める。
シヴァーズはこの最初に加わった人を
「ファースト・フォロワー」と呼び
その重要性を語っています。
この動画を初めて見たときも
なるほどと思いました。
一番最初に行動した人は目立ちます。
でもその人を理解し
一緒にやってみようと踏み出した人にも
大きな勇気が必要だったはずです。
会社の中でも似たことがあるように思います。
新しいことを提案する人がいる。
最初は周囲から理解されないかもしれない。
それでも誰かがその考えを理解しようとし
協力し始める。
そんな小さな動きから
会社の雰囲気が変わることも
あるのでしょう。
そしてここでも気になることがあります。
最初に行動した人だけでなく
最初に歩み寄った人の存在に
私たちは気づいているでしょうか。

中小企業では
社長も管理職も毎日忙しくしています。
目の前の仕事、納期、売上
お客様への対応。
人のことをじっくり見ている
余裕なんてない。
そんな日もきっと少なくありません。
私自身も仕事に追われていると
どうしても目に見える結果や
起きている問題に意識が向いてしまいます。
だからこそ富樫の姿勢に
心を動かされたんです。
人を見るとは
ただ行動を観察することではない。
その人が何を考え
何を大切にしていて
何を理解しようとしているのか。
そこに関心を持つことです。
「ほめ育」というと
相手の良いところを探して
ほめることだと思われるかもしれません。
もちろんそれも大切です。
でもその前に必要なことがある。
相手を知ろうとすること。
昨日と今日のほんの小さな違いに気づくこと。
富樫が見ていたのは
新海が何を成し遂げたかではなく
新海が誰かを理解しようとしている姿でした。
私たちの身近にも
そんな変化は起きているのかもしれません。
ただこちらが気づいていないだけで。
明日誰かと仕事をするときには
いつもより少しだけその人の変化に
目を向けてみようと思います。
1mmの成長は案外すぐ近くにあります。
人の小さな変化をどう見ているか、一度お話ししてみたいです。
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