
今週、遠く離れて一人で暮らす母が
緊急手術を受けることになりました。
連絡を受け
その日の夜行バスに飛び乗って広島へ。
それから5日。
今日いったん大阪へ戻ります。
突然のことでした。
仕事を終えて
家に帰るはずだったところから
そのまま広島へ向かうことになりました。
当然予定していた仕事も変わります。
急な休みを受け入れてくれた会社には
本当に感謝しています。
そして何より
母を診てくださった医療関係者の方々や
普段から周囲で支えてくださっていた
方々には感謝してもしきれません。
普段と同じ一週間になるはずだったものが
一本の連絡で
まったく違う一週間になりました。
幸い母は動けるようになり
日常会話もほぼ普通にできるところまで
回復しました。
昨日は久しぶりにゆっくり話をしました。
遠く離れた一人暮らしは
いろいろと大変です。
これからのことを考えて
私の住むところの近くへ
引っ越したらどうかという話もしました。
そんな話をしているうちに
昔の引っ越しの話になりました。
私がまだ小さかったころのことです。
ある晩突然起こされました。
父と母は荷造りをしています。
しかもなぜかとても静かにしている。
そして夜のうちに
知らない部屋へ移動しました。
子どもの私には
もう完全にこう見えていました。
「うち、夜逃げしてる……」
もちろん実際にはただの引っ越しです。
両親とも働いていたので
夜しか引っ越しができなかった。
しかも周囲に迷惑をかけないよう
静かに作業していただけでした。
今では笑い話です。
母が勤めていた会社でも
この話はずいぶん話題になったそうです。
そんな昔話をしながら
ふと思いました。
今こうして普通に話しているこの時間も
ずっと続くわけではないんだな、と。
今回母の手術の知らせを受けたとき。
頭ではわかっていたことが
急に現実になりました。
人はいつまでも元気ではない。
今と同じ生活がずっと続くわけでもない。
そんなことはもちろん知っています。
でも知っているのと実感するのは
まったく違います。
私自身
母とはまたいつでも
話せると思っていました。
次に会えばいい。
また今度話せばいい。
そんな「また今度」が
普通に来ると思っていました。
今回母とゆっくり話しながら
思ったのは
もしこのあと状況が急に変わったとしても
少なくとも
「あのときもっと話しておけばよかった」
とは思わないようにしたい
ということでした。
そしてそれは仕事や会社も
同じじゃないかと思ったんです。

空いた席が見せる、属人化のリスク
会社にいると
不思議なくらい「明日も同じ」が
続くような気がします。
明日も同じ人が出勤してくる。
来週も同じ仕事ができる。
あの取引先との関係も続く。
このやり方でも
しばらくは何とかなる。
でも本当にそうでしょうか。
今回私は何の準備もなく突然
数日間会社を離れることになりました。
そこで自分自身にも問いかけました。
もし会社の誰かが
明日から一週間来られなくなったら
どうなるだろう。
その人しか知らない仕事はないだろうか。
その人しか判断できないことは
ないだろうか。
必要な情報が
その人の頭の中にしかないことは
ないだろうか。
「あの人に聞けばわかる」で
済ませている仕事はないだろうか。
こういう話になるとすぐに
「マニュアルを作ろう」
「システムを入れよう」
という話になりがちです。
でもその前に見ることがあります。
仕事がどう流れているのか。
情報がどこから来て
どこへ渡っているのか。
途中で誰か一人に集中していないか。
その人がいないと止まる場所はどこなのか。
まずそこを見る。
ITやAIを使うのはそのあとです。
会社にいると
会社そのものもずっと続くような
感覚があります。
でも振り返ってみると
私がこれまで勤めた会社の半分は
もう存在していません。
当時はその会社がなくなるなんて
考えていませんでした。
普通に翌年もあると思っていました。
来年も仕事がある。
来月も同じメンバーで働いている。
そう思っていました。
でも会社は
なくなるときにはなくなります。
人だって
突然そこにいられなくなることがあります。
そう考えると
「そのうちやろう」
「もう少し落ち着いてから」
「今すぐ困っているわけじゃないから」
と後回しにしていることが
本当にそれでいいのかと思います。
私自身にも、あります。
やった方がいいとわかっている。
変えた方がいいとも思っている。
それなのにできない理由を並べて
手をつけていないこと。
たくさんあります。
今回の出来事は
それをかなり生々しく突きつけてきました。

私は会社でDXに関わる仕事をしています。
でもDXというとどうしても
システム導入やAI活用の話に
なりがちです。
もちろんそれらも必要です。
ただそれ自体が目的ではありません。
誰か一人がいなくても
必要な情報が必要なところへ流れる。
特定の人しか知らないことを
少しずつ減らす。
仕事の途中で何かが起きても
誰かが引き継げる。
変化が起きても
仕事そのものが止まらない。
そんな状態をつくることも
私にとってはDXです。
そしてそれは「いつかやろう」ではなく
本当は今日から少しずつ
始めることなのだと思います。
大げさなことをする必要はありません。
まず一つ。
「あの人に聞かないとわからない仕事」を
見つける。
「自分しか知らない仕事」を
一つ外に出してみる。
止まっている情報を一つ流してみる。
それだけでもいい。
今回母と昔話をしながら
そんなことまで考えていました。
明日も今日と同じとは限らない。
だからこそ変えるべきことは
「そのうち」ではなく
今日ひとつ動かしたい。
「何となく危ないとは思っている。でも、どこから手をつければいいかわからない」
そんな状態なら、まず仕事と情報の流れを一緒に整理してみませんか。
システムを選ぶ前に、どこで仕事が止まりやすいのかを見つけるところから始めます。
まとまっていなくても大丈夫です。今感じている違和感を、そのまま書いてください。
| 現場と経営をつなぐDX部長 村上 郁 (むらかみ かおる) |
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DX推進・IT活用の相談・伴走支援 組織づくり・人材育成の仕組み化 |
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