作家の東野圭吾さんが
亡くなりました。
7月23日、大腸がんのため。
68歳でした。
27日に講談社が発表しています。
『容疑者Xの献身』で直木賞。
『白夜行』『ガリレオ』シリーズ。
40年で106冊。
亡くなる直前の8月5日にも
新刊の刊行が控えていました。
多くの追悼記事が
その作品が長く読み継がれてきたことに
触れています。
私は『容疑者Xの献身』を
映画で見た程度ですが
静かに手を合わせました。
1. 私が気になった、ひとつのこと
2. 謎解きとバグ取りは通じている
3. 会社にも、同じ景色がある
4. 「そこだったのか」を、自分の会社で
5. おわりに
追悼記事を読むうちに
私はひとつのことが
気になりました。
多くの記事で触れられている
代表作でも受賞歴でもありません。
東野さんは
大阪府立大学の電気工学科を出て
1981年に日本電装
今のデンソーに
技術者として入社した人です。
勤めながら小説を書き続けて
乱歩賞を取り
専業作家になりました。
技術者から物語を書く人へ。
私はここに注目しました。
私自身、C言語のプログラマから
キャリアをスタートし
現在は業務の詰まりを見つける支援を
しています。
だから
よけいに気になりました。
なぜ技術者出身の東野さんが
あれほどの物語を書けたのか。
ミステリーの謎解きと
エンジニアのバグ取りは
通じる部分があると思っています。
プログラマになりたての頃。
バグばかりで私の担当のコーディングが
なかなか終わらない。
いつも焦っていました。
ログを辿る。
一つバグを見つけて直す。
すると
今まで走っていなかった経路を
プログラムが走り出す。
そこで
未知の不具合が起こる。
一つ直すと別の現象が出る。
もぐら叩きのような状態でした。
ところが経験を積むと
このバグはこのあたりが怪しい。
そう見当をつけられるようになる。
バラバラに出ていた不具合が
一つの怪しい場所に
絞られていく。
ミステリーも
似ているなぁと感じます。
手がかりを
一つずつ見ているだけでは
なかなか解決に近づかない。
でも俯瞰すると
関係なさそうだった手がかりが
実は繋がっている。
その繋がりを見つけて
怪しい場所に見当をつけて
そこに集中して
解決へ持っていく。
いろんな現象を俯瞰して
全体の不具合を洗い出し
真因にたどり着くエンジニアの目。
複数の伏線や手がかりを俯瞰して
繋ぎ合わせ
事件の全容を明らかにする作家の目。
この二つは似通っています。
あぁ、だから東野さんは
たくさんの読者を持つ作品を
これほど多く書けたのだな
と思いました。
東野さんは
デンソーに5年勤めた
一人のビジネスマンでもありました。
組織のなかで働く以上
うまく回らない現場や
噛み合わない上司や部下を
見てきたはずです。
私が普段向き合っているのも
まさにその景色です。
私の周りの社長がよく口にする
困りごとがあります。
人が辞める。
採用してもうまくいかない。
幹部が育たない。
自分がいないと現場が回らない。
利益が思うように出ない。
多くの社長はこれを
別々の問題として対処します。
採用は採用の問題。
育成は育成の問題。
利益は利益の問題。
一つずつ手を打つ。
でも問題は減りません。
むしろ一つ手を打つと
別の場所で新しい困りごとが出る。
エンジニアになりたての私がやっていた
あのバグ取りと同じ構図です。
バラバラの手がかりを
バラバラのまま
別々に処理している。
これでは
なかなか真相に
たどり着けません。
今の私がやっているのは
一つずつの対処法を
考えることではありません。
すべての困りごとを俯瞰して
どこを解けば
会社の問題が一番早く動くのか。
その一点を見つけることです。
社内をよーく見ていくと
情報が必要な人に届いていない。
現場の声が上に上がる前に消えている。
決める人のところに情報が来ていない。
バラバラに見えた困りごとが
ある一点から生まれていることがあります。
情報の詰まっている場所は
たいてい一つです。
そこが見えた瞬間
社長は「そこだったのか」と言います。
東野さんの読者が
最後のページで漏らすのと同じ声です。
技術者出身の東野さんが
素晴らしい物語を書けたのは
目の前の現象から
本当の原因を見つける目を
持っていたからだと
私は思っています。
東野さんの作品もリアルの会社も同じです。
バラバラの症状の元をたどると
一つの詰まりから問題が起こっている。
目詰まりを起こしているところを見ないまま
ツールを入れても新たな症状が一つ増えるだけです。
今夜あたり東野さんの本を
また読み返そうと思います。
今度は
「どこで繋がるのか」を
探しながら。
ご冥福をお祈りします。
バラバラの困りごとが
一つの場所で止まっている。
その場所を一緒に探します。
まず現状を整理したい方、
お気軽にどうぞ。
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