昨日、中堅社員の育成をテーマにした
研修会にオンラインで参加しました。
諏訪商工会議所の主催で
講師は米澤晋也さんと飯塚洋平さんです。
そこでたくさんのことを
教わりました。
その中のひとつに
氷山モデルという
考え方がありました。
人が見られるのは、
相手の「言っていること」
「していること」だけ。
水面の下には
「考えていること」
「感じていること」が
隠れている。
この話を聞いたとき
前職での私の失敗を思い出しました。
目次
1. 「答えを渡さない」の裏にあった思惑
2. 同僚から聞いた、思いがけない言葉
3. 見えていたのは、水面の上だけ
4. 渡す順番にも、意味がある
5. 中小企業のOJTに、抜けているもの
6. 本当のボトルネックは、どこにあるのか
7. 急がば回れ、でした
前職でのある時、私に
新入社員の部下ができました。
彼に何かを聞かれるたびに
私はこう返していました。

〇〇君はどう思う?
答えをすぐに教えなかったのには
理由があります。
まず自分の頭で考えてほしい。
そして考えた末に
彼なりの答えを出してほしい。
そんな想いがありました。
私はその時点で社会人経験は20年以上。
当然ながら新卒の彼より
知識も経験もあります。
私なりの答えももちろん持っていました。
でもそれをそのまま教えれば
彼は考えなくなると思ったのです。
それでは彼なりの答えも
生まれてこなくなります。
だから私の答えを丸ごとは教えない。
この判断自体は間違っていたとは
今でも思っていません。
するとある日、私の同僚から
思いがけない話を聞きました。

「村上さんは答えを
持っているはずなのに、
それを先に教えてほしい」と
彼が言っていたよ。
正直、驚きました。
答えを教えない姿勢が
彼にはマウントのように
映っていたのかもしれません。
残念なことにそのすれ違いを
修復する機会は
とうとう訪れませんでした。
ほどなくして会社が
倒産したからです。
私はいくつもの失敗を
重ねながら、今にいます。
このことも私の失敗のひとつですね。
今日の氷山モデルの話で
あのときの正体が
やっと分かりました。
彼は何度も確認しメモを細かく取り
私が忙しいときは相談してきませんでした。
その言動の水面下では、


本当はもっと任せてほしい
そんな気持ちが
あったのかもしれません。
答えを教えず
自分の頭で考えさせて
彼なりの答えを出させる。
その狙いは正しかった。
でも私は目に見える姿、
耳に入る言葉、つまり
水面の上しか見ていませんでした。
彼が水面の下で何を感じているか。
そこを想像することが
当時の私にはできていませんでした。
研修ではもうひとつ
大事なことを教わりました。
任せる仕事には
渡す順番があるという話です。
まず慣れてもらいます。
簡単なことから渡して
「できた」という経験を
持ってもらいます。
次に覚えきってもらいます。
くり返してこなせるレベルまで。
最後に、少し難しいものへ
挑戦してもらいます。
簡単なことから自信をつけ
くり返しで習熟し
最後に新しい難しさへ向かう。
この順番自体が
仕事の任せ方そのものだと
教わりました。
ここで中小企業の人材育成に
話を移します。
多くの現場ではOJTという名のもとに
新人をできるだけ早く
現場へ出そうとします。
OJTとは本来
仕事を通じて計画的に
人を育てる仕組みです。
ところが実態は違います。
いきなり現場で
ベテランと同じ仕事を
やらせるのです。
そして「わからなければ聞け」
「見て盗め」と言います。
それでもできなければ
「あいつはダメだ」と
レッテルを貼ります。
さきほどの研修で教わった
二つが、ここには
抜け落ちています。
ひとつは、相手の水面の下を
想像することです。
もうひとつは、
渡す順番を設計することです。
この二つがないから、
「聞け、盗め」という
丸投げになってしまうのです。
では、本当のボトルネックは
どこにあるのでしょうか。
ボトルネックとは
流れ全体を止めている
たったひとつの場所を指します。


とにかく早く現場に出すことが
人材育成だ
この思い込みこそが
ボトルネックです。
早く即戦力にしたい。
その気持ちは理解できます。
でも、ここを
考えてみてください。
新卒でも中途でも
新人にいきなり現場で
仕事を丸ごと渡すのと、
教える内容を設計して
渡すのと。
この二つでは、
結果として戦力になる
スピードが変わります。
丸ごと渡すほうが
速いように見えて、
実は違います。
相手を見ず、
順番も設計せず、
現場に放り込む。
それは本当の意味での
OJTではありません。
人材を育成することからの逃げを
OJTと呼んでいるだけです。
その逃げを、
人材育成の主役に
据えてしまっている。
無計画なOJTをしている限り
どれだけ人を採っても
戦力は育ちきりません。
最初に教えること。
やらせること。
ここまでは習得してほしいこと。
そして、難易度は高いけれど
ここまで届いたらうれしいこと。
教える内容を
そうやって分けていきます。
手間はかかります。
でも段階を分けることで
みんなのベースがそろいます。
成長スピードも
予測できるようになります。
結果として、全体の底上げの
速度まで上がっていきます。
急がば回れとは
まさにこのことでした。
今日の研修は
改めて人材育成というものを
考え直す機会になりました。
あの部下とのすれ違いの意味も
少しだけ分かった気がします。
御社の現場では
教える順番を設計したことが
あるでしょうか。
それとも「聞け、盗め」で
止まっているでしょうか。
同じところでつまずいた
経験のある方、一度
一緒に考えてみませんか。
| 現場と経営をつなぐDX部長 村上 郁 (むらかみ かおる) |
|
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DX推進・IT活用の相談・伴走支援 組織づくり・人材育成の仕組み化 |
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