『SHOGUN 将軍』を観ました。
一番こたえたのは
長門という若者の死に方です。
叔父を討ちに行った夜。
庭の池で足を滑らせ
頭を打ってそれきりでした。
次の当主になるはずの人です。
刀を交えたわけでもない。
策に負けたわけでもない。
足元ひとつで終わりました。
驚いたのはそのあとです。
誰も責任を問われません。
なぜ止めなかったのか。
誰が連れて行ったのか。
何ひとつ聞かれないまま
話は次へ進みます。
葬儀では一部の家臣が武装して参列し
叔父に敵意を見せました。
父である虎永は体調を崩します。
ただしあれも
敵を油断させる芝居だったのかもしれません。
私にはそう見えました。
一人の死が
そのまま次の駆け引きの材料になります。
いまの会社なら
こうはなりません。
工場でけが人が出れば
その日のうちに報告書を書きます。
いつ、どこで、誰が、何をしていたか。
写真も撮ります。
書かないという選択肢がありません。
もうひとつ。
虎永は密書を受け取ると
すぐ火に入れます。
落葉の方からの手紙もそうでした。
読んで、燃やす。
証拠を消しているのだと
私は受け取りました。
いまはメールです。
送った側にも
受け取った側にも残ります。
消したつもりでも
どこかに残っています。
もうひとつ。
藪重という家臣は
相手によって言うことを変えます。
石堂には石堂の顔。
虎永には虎永の顔。
それが通るのは
言った言葉がその場で消えるからです。
いまはチャットです。
同じ画面を全員が見ています。
きのう別の人に言ったことと
違うことは書けません。
長門の死。
燃やされた密書。
藪重の使い分け。
3つに共通していることがあります。
やったことが残りません。
誰が誰に何をしたか。
知っているのはその場にいた人だけです。
その人が黙れば
無かったことになります。
あの時代が特別だったのではありません。
いまの会社にも
残らない場所があります。
締め切られた応接室。
機械の陰。
帰り際の駐車場。
そこで何が言われたかは残りません。
残らないから
「見つからなければいい」になります。
いまの職場は変わりました。
怒鳴れば問題になります。
パワハラは処分の対象です。
研修も毎年あります。
いい変化です。
昭和の現場に戻りたいとは
ぜったい思いません。
ただ
規則が届いていない場所があります。
罰則を厳しくする。
研修を増やす。
それで応接室の中が変わったでしょうか。
私が見てきた限り
人が変わったのは別のときでした。
口で言っていた指示を
チャットに移したときです。
怒鳴っていた人が
怒鳴らなくなりました。
性格が変わったのではありません。
書いたものは後から読み返されます。
本人以外も読んでいます。
だから同じことが書けないんです。
ここは気をつけたいところです。
残るようにすれば全部よくなる。
そうではありません。
SNSがそうです。
これまで表に出なかった話が
本人の一言で出るようになりました。
泣き寝入りが減りました。
一方で
事情を知らない人が裁き始めます。
一部だけ切り取られて広がります。
違いますと言っても届きません。
これが進歩なのかどうか
私にはまだ判断がつきません。
はっきりしているのは
残ること自体は
良くも悪くもないということです。
何のために残すのかで
別のものになります。
チャットを入れて何年か経ちました。
書いて残す。
それが普通のことになってきました。
ちょっとした伝言。
自分用の覚え書き。
そんな使い方も増えています。
一番よかったのは
いつ、誰が、誰に、何を言ったか。
これが残ることです。
ただし万能ではありません。
どれだけ書いても
見ない人は見ません。
見たつもりで忘れることもあります。
ここで一つ
絶対にやってはいけないことがあります。
「ほら、書いてあるでしょう」
相手がやっていない証拠として
突きつけることです。
これをやった瞬間
チャットは別のものに変わります。
工場の中を撮っている動画も同じです。
あら探しの道具にした時点で
情報共有ではなくなります。
何のために残すのか。
ここを外すと
道具のほうが人を苦しめます。
私が残したいのは
言いにくいことを言うためです。
仲の悪い相手とは
面と向かって話せません。
すぐ怒る人には
確認しづらいものです。
これを人柄で乗り越えろというのは
無理な話です。
乗り越えなくて済むようにする。
そのために場所を変えます。
顔を合わせて話すのは
どうしても必要な場面のために
取っておけばいい。
人が採れません。
辞められても埋まりません。
理不尽なことをすれば人が辞めます。
辞められれば現場が止まります。
損得の面からも
理不尽が通らなくなりました。
罰則が厳しくなった。
人手が足りない。
理不尽をやりにくくする力が
2つ同時に働いています。
こんな時期はそう来ません。
私は規則を増やす仕事はしません。
罰則を厳しくしても
応接室の中には届かないからです。
やりとりが残る場所へ移します。
そして
あら探しには使わないと決めます。
この2つが揃って初めて
人は言いにくいことを書けるようになります。
意見が出る職場にしたい。
社長からよく聞く言葉です。
掛け声だけでそうなった会社を
私は見たことがありません。
言える場をつくるのが先です。
ドラマの世界では
やったことが消えました。
だから力の強い人が通りました。
いまは消えません。
消えないことは
使い方さえ間違えなければ
弱い立場の人を守ります。
言った言わないで揉めない。
一人だけ悪者にされない。
気まずい相手にも用件が届く。
そういう会社にしていきます。
消える言葉に苦しんでいる方がいたら、一度お話ししませんか。
| 現場と経営をつなぐDX部長 村上 郁 (むらかみ かおる) |
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| 支援内容 |
DX推進・IT活用の相談・伴走支援 組織づくり・人材育成の仕組み化 |
|---|---|
| 活動拠点 | 奈良県 |
| 営業時間 | 平日9時~18時 |
| 定休日 | 土日祝 |