『AIファースト経営』という本を
今、Kindleで読んでいます。
著者は木村哲也さん。
愛知県の自動車部品メーカー
旭鉄工の社長です。
トヨタ自動車に21年勤めたあと
2013年に旭鉄工へ入られました。
読みながら考えたのは
旭鉄工の真似をどうするか
ではありません。
AIをどの仕事に使えばいいのか。
社長がそれを自分で決めるには
何を見ればいいのか。
そこを考えていました。
2026年版の中小企業白書に
AI活用の状況が出ています。
AIを使っている中小企業は
30.3%。
使っていない中小企業は
69.7%です。
七割が手をつけていません。
その七割に
なぜ使わないのかを聞いています。
AIを使う仕事が思い浮かばない
63.4%。
AI活用を進める人がいない
40.0%。
必要な予算を用意できない
13.8%。
予算は最下位でした。
お金がないから進んでいない。
そういう話ではありませんでした。
AIを使う仕事が思い浮かばない。
これが最大の理由です。
同じことが五年前にも
言われていました。
東京商工会議所が2021年に
IT活用実態調査の報告書を出しています。
その中にこう書かれています。
IT活用の目的として
業務効率化以外に思いつかない企業が多い。
使う仕事が思い浮かばない。
五年前も今も同じです。
私はここに驚きました。
では、やってみた会社は
どうだったのか。
同じ中小企業白書に
省力化のためにITツールを使った企業の
評価が出ています。
91.4%が
思っていたとおり、
あるいはそれ以上の効果があったと
答えています。
やってみた会社は
ほとんどが効果を得ています。
問題は、やってみるかどうかです。
そして、やらない最大の理由は
AIを使う仕事が思い浮かばないことでした。
ここを解きます。
この本について
木村社長が受けたインタビュー記事が
製造業向けメディアの
Seizo Trendに
掲載されています。
その中で木村社長は
こう語っています。
製造現場の人件費を削っても
限界がある。
稼ぐ力を高めるほうには
上限がない。
だから稼ぐ力を高めるほうを
目指したほうがいい。
私はここでページをめくる手を止めました。
AIの話になると
たいてい作業が減ったという話になります。
でもそれは減らす話です。
減らす方向にはかならず底があります。
AIをどこに使うか考えるときも
どうしても製造現場を見ます。
手の動きを速くする。
前後の工程の距離を詰める。
ものづくりの効率化は
だいたいこの二つに向かいます。
それで効果が出ることもあります。
でも作っている瞬間だけを見ても
会社の稼ぎは増えません。
作る前と作った後にも
仕事があるからです。
だから探すものを変えてください。
探すのはAIの使いどころではありません。
待ちです。
図面待ち。
承認待ち。
見積待ち。
返事待ち。
思い当たりませんか。
どれも誰かが動いていない時間です。
そして必ずどこかにあります。
待ちを見つけたら
すぐになくそうとしないでください。
見るのは、なぜ待ちが起きているかです。
図面が紙のままだから
探すのに時間がかかる。
承認が一人に集中しているから
その人が出張に出ると止まる。
見積を出せるのが一人だから
その人の手が空くまで動かない。
原因はここにあります。
そしてこの原因のいくつかは
ITやAIで変えられます。
この順番で考えると
使いどころは見つかります。
私は今、見積の仕組みを作っています。
原価*時間で単価が出るなら
誰も苦労していません。
実際は現場の状況や時期や仕様で
使う設備も人員の想定も変わります。
いわゆる鉛筆舐め舐めと呼ばれる
経験が必要な部分です。
だから見積には待ちが生まれます。
この鉛筆舐め舐めの部分は
あいまいな質問に
確率の高い言葉で答えてくれる
生成AIが適しているのではないか。
そう仮定して
AIも活かした見積作成システムを
構築中です。
その名も「見積くん」です。
木村社長は
人がやらなくて済む仕事をAIに任せ
人は稼ぐ力を高める仕事に向かうべきだ
と語っています。
私はこれを
働き方が変わる話だと受け取りました。
仕事の中身が変われば
働き方が変わります。
働き方が変われば
暮らし方も変わります。
そこまで変わったらこれはもう、
真の意味でのDXです。
図面待ち。
承認待ち。
見積待ち。
返事待ち。
自社ではどこで誰が待っているか。
三つ書き出してください。
それがAIを使う仕事の候補です。
中小企業白書でいちばん多かった答えを
思い出してください。
AIを使う仕事が思い浮かばない。
思い浮かばないのは
作っている場所ばかり
見ているからです。
待ちを探せば見つかります。
明日、自社の待ちを三つだけ書き出してみてください。
| 現場と経営をつなぐDX部長 村上 郁 (むらかみ かおる) |
|
| 支援内容 |
DX推進・IT活用の相談・伴走支援 組織づくり・人材育成の仕組み化 |
|---|---|
| 活動拠点 | 奈良県 |
| 営業時間 | 平日9時~18時 |
| 定休日 | 土日祝 |