
人手不足だから、自動化したい。
製造業では、この相談が
これから増えます。
ロボットを入れる。
AIを使う。
システムを入れ替える。
人がやっている作業を
機械に任せる。
どれも間違いではありません。
ただ私が実際に受けてきた相談は
少し違います。

人が足りないから人を。
つまり採用です。
言ってくるのは
現場の職長であることが多い。
毎日現場を見ている立場の人です。
足りてないから足るようにしたい。
まっすぐな話です。
でも私は
その「足りてない」を疑います。
なぜ足りてないと思うのか。
そこを確認します。
納期が遅れているのか。
手戻りが出ているのか。
修正が増えているのか。
事実として何が起きているのかを
聞きます。
たいていここがうやむやです。
感覚値のまま
人を増やす話になっています。
同じことが設備でも起きます。
2026年8月28日、
第6回公募の採択結果が
発表されました。
中小企業省力化投資補助金
(一般型)です。
中小企業庁の発表によると
応募1,841者に対して
採択は1,176者。
単純計算した採択率は
約63.9%です。
採択結果の内訳では
製造業が51.4%。
半分以上が製造業でした。
でもこのニュースで
私が気になったのは
採択された設備ではありません。
その仕事を省力化すると
会社全体は本当に良くなるのか。
たとえば、ある工場で
10人が作業している工程が
あるとします。
隣の工程は2人です。
数字を見れば
10人の工程を自動化した方が
効果は大きそうに見えます。
その工程だけを見れば
人手は減らせます。
でも会社全体の生産量を
決めているのが
その先の2人の工程だったら
どうでしょう。
10人の工程を倍の速さにしても
次の工程で仕事が詰まります。
作りかけのものが増える。
置き場が要る。
管理する仕事も増える。
効率化したのに
会社全体では仕事が増えた。
そういうことが起きます。
人を増やすときと同じです。
どこが遅いせいで
次の仕事が待っているのか。
そこを先に見ます。
中小機構は採択結果と一緒に
実際に採択された事業計画の
概要も公開しています。
その「導入前の課題」欄が
読ませます。
空調設備工事の会社は
鋼材の配置の判断が
工場長ひとりに依存している。
そう書いています。
ホテルの会社は
予約・チェックイン・決済・
清掃の管理が噛み合っていない。
手入力と二重入力と紙が
多く残っている。
そう書いています。
廃棄物処理の会社は
工程ごとに作業の負荷が偏り
手待ち時間が出ている。
そう書いています。
設備を買う話のはずなのに
そこに書かれている困りごとは
設備の性能ではありません。
特定の人を待っている。
同じ内容を何度も入力している。
前の工程を待っている。
採択された会社は
どこで仕事が待っているかを
先に言葉にしていました。
感覚値で終わらせなかった。
差はそこです。
人が足りないと一言で言っても
中身は違います。
本当に手が足りないことも
あります。
でも、
情報を探している。
確認を待っている。
同じ内容を何度も入力している。
特定の人に判断が集中している。
前工程から仕事が来るのを
待っている。
こういう理由で
忙しくなっていることもあります。
この状態で人を増やしても
設備を入れても
根本は変わりません。
詰まっているところへ
さらに仕事を送り込むことに
なります。
省力化という言葉を見ると
3人の仕事を2人でやることだと
考えがちです。
もちろん必要な場合もあります。
でも省力化はもう少し広い。
探す時間をなくす。
待つ時間を減らす。
やり直しをなくす。
ひとりしかできない仕事を減らす。
仕事が次の人へ
そのまま渡るようにする。
これも立派な省力化です。
何人減らしたかではなく
仕事がどれだけ渡りやすく
なったか。
そちらで測ります。
制度を見ると
うちなら何が買えるだろうと
考えたくなります。
その前に一度だけ
やってほしいことがあります。
紙を一枚用意して
会社の仕事を左から右へ
書いてみてください。
製造業ならこれで十分です。
細かく書く必要はありません。
そしてそれぞれについて
考えます。
どこで仕事が待っているか。
どこに仕事がたまっているか。
どこで何度も確認しているか。
どこで特定の人を待っているか。
ここが遅いせいで
その後の仕事まで遅い。
そう思う場所に○をつける。
設備やITを選ぶのは
そのあとです。
補助金はありがたい制度です。
初期投資を抑えて
省力化へ踏み出せます。
使えるものはうまく使えばいい。
ただし
補助金が出るから導入する。
会社全体を良くするために
必要だから導入する。
似ているようで違います。
人が足りないから人を。
人手不足だから自動化する。
どちらも間違いではありません。
でもその前に一つだけ。
足りてないと感じている理由を
事実で言えるかどうか。
一番人が多い場所ではなく
一番仕事を待たせている場所を
見てください。
そこが本当に
手を打つべき場所です。
足りてない理由を事実で言えなかった方は、一度お話しましょう。
| 現場と経営をつなぐDX部長 村上 郁 (むらかみ かおる) |
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DX推進・IT活用の相談・伴走支援 組織づくり・人材育成の仕組み化 |
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