現場と経営の断絶を解く。
中小製造業のDX部長が書き続けるブログ

「AIで何とかなりませんか」と聞かれて、私はRPAの話をした

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先日ある企業のDX導入支援の
ヒアリングに同行しました。

 

基幹システムとクラウドのつなぎ目に
人の手を必要とする部分が
たくさん残っていました。

 

 

先方の要望は
とにかくシンプルにしたいし
ベンダーロックインも避けたいが、
どこからどう手を付けたらいいか
分からない。

 

そういうお話でした。

 

こういう会社はまだまだあります。

 

そこでこれまでの実例をベースに
架空の会社として書いてみますね。

 

 


こういう会社があるとします

従業員60名の金属加工メーカー。
創業80年で社長は45歳、3代目です。

 

基幹システムはWindowsが出る前から
使われているオフコン系。
いわゆるレガシー基幹システム。

 

Windowsとは別の仕組みで動いていて
専用端末から操作します。

 

このシステムには
各事業所から出荷予定が送られてきます。

 

 

その隣にWindowsのパソコンがあります。
このパソコンにはクラウドの配送管理の画面。

 

運送会社から配送完了のデータが
自動で入ってきます。

 

 

業務担当の方は2つの画面を交互に見ながら
基幹システムに登録された出荷予定と
クラウドに入ってきた配送実績を
1件ずつ突き合わせる。

 

 

数量が合っているか。
着日がずれていないか。
納品先が同じか。

 

目で確かめて、正しい数字を
Excelに打ち込む。

 

そのExcelを基幹システムに
登録し直します。

 

さらにそのデータを
各営業所向けの資料に加工して
配布しています。

 

月末の3日間は事務所の電気が
遅くまで点いているそうです。

 

社長はこの状況に危機感を抱いており

会話
「うちはIT活用が遅れている」

と感じていらっしゃるそうです。

 

そしていま、AIも含めた
新システムの相談を
ベンダーにしようとしています。

 

 

会話

「このデータ突き合わせ、AIで
何とかならないですかね」

 

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私ならまず3つ見ます

私がこの相談をお受けした場合
AIにするか何を使うかはいったん横に置き
以下の3つのポイントを確認します。

 

 

1つ目:業務フローの確認

受注から入荷、出荷を経て請求まで
それぞれの業務について
誰がどのシステムに対して何をしているか
を確認します。

 

2つ目:システム構成の確認

 

どの工程で、どのシステムが使われ、
誰が触っているか。

 

3つ目:ボトルネックの仮決め

 

担当者自身がめんどくさいと
感じている作業はどれか。

同じ数字を何回も打ち込んでいたり
頻繁に発生する部分。

 

 

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めんどくさい、に注目

3つ目の「めんどくさいと感じている作業」は
担当者の感情的な部分に見えるかもしれませんが
私はあえてこの聞き方をします。

 

実際にその作業を担当しているからこそ
どこに手間がかかっているかを知っています。

 

経営者にはその手間が見えていないことが多い。

 

この会社では
人が2つのシステムのデータを確認し
エクセルで資料を作成する
『配送』と『実績確定』の間に
ボトルネックがあると仮定出来ました。

 

出荷予定は基幹システムの中にある。

 

配送実績はクラウドの配送管理の中にある。

 

2つは物理的に別です。

 

OSも、アプリも、データの持ち方も違う。

 

そして触っているのは事務の方1人。

 

同じ出荷数量が
基幹システムに1回。

 

Excelに1回。

 

基幹システムにもう1回。

 

3回打ち込まれています。

 

ここまで書き出すと
何が起きているか見えてきます。

IT参謀会話
つながっていないシステムの間を
人がつないでいます。

ここまで具体的に見えてきたとき
私の頭の中に浮かんだのは
今回はAIではなくRPAです。

 

RPAとは画面の操作をPCが覚えて
人の代わりに画面を操作し
マウスクリックやキー入力をする
プログラムのことです。

 

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自動化する前に、もうふたつ聞きます

RPAを入れれば3回の打ち込みは
自動化できます。

 

ただ、その前に聞くことがあります。

 

ひとつ目。

 

突き合わせて数字が合わなかったとき
どうしていますか?

 

これを聞かずに自動化すると
たいてい失敗します。

 

合っているものだけ機械に任せて
合わないものは人が処理する。

 

一見よさそうに見えます。

 

でも合わないものを見つけるために
結局は全件を見ることになります。

 

こうなるとなかなか工数が減りません。

 

自動化したのに楽にならなかった。

 

そう言われる原因の多くがここにあります。

 

だから先に聞きます。

 

月に何件ずれるのか。

 

ずれたとき、どちらの数字に
合わせているのか。

 

その判断を誰がしているのか。

 

この判断基準が担当者の頭の中に
しかない会社は多いです。

 

言葉にしないまま自動化すると
機械が勝手に間違った数字を選んだ
という話になります。

 

ふたつ目。

 

その出荷実績を、各営業所は
何に使っているのか?

 

ここで答えが詰まる会社があります。

 

昔は営業所ごとに集計していた。

 

だから月末にまとめて配っていた。

 

いまは営業所の担当者が
必要なときに自分で調べている。

 

配られた数字は開かれていない。

 

もしそうなら
突き合わせも打ち直しも
自動化する前になくせます。

 

打ち込みを速くする話ではなく
打ち込まない話になります。

 

ただし、ここは慎重にヒアリング。

 

営業所が使っていなくても
請求や在庫の評価が
その数字を前提にしていることがある。

 

 

使っていないように見えて
別の工程がぶら下がっている。

 

そこまで確かめてから、
意味がないならなくします。

 

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見積を20分早くしても、回答は3日のまま

ある会社では
問い合わせから顧客への見積回答まで
3日かかっていました。

 

見積書を作る作業を自動化して
30分が10分になりました。

 

20分の短縮です。

 

 

でも見積書作成という業務の中身を見ると
顧客から仕様がそろうのを待っている。

過去の似た案件を探している。
原価を別の担当者に確認している。
上司の承認を待っている。

 

 

見積書そのものを書いている時間は
ごく一部でした。

 

これで20分短くしても
顧客への回答は3日のままです。

 

新しい仕組みは働いている。
でも仕事は速くなっていない。

 

ムダな承認。
二重入力。
不要な確認。
使われていない帳票。

 

これを残したまま自動化すると
ムダを速く回すだけになってしまいます。

 

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まずA3のコピー用紙を1枚

この会社のシステムを
ツギハギだと責めることはできません。

 

長く事業を続けてきた会社ほど
時代ごとに必要なものを足しています。

 

止まると仕事が止まるので
動いているものは動かしたまま
横に新しいものを増やしてきた。

 

その積み重ねが今の姿です。

 

必要なのは
ダメなところをあげつらうのではなく
ボトルネックを仮定してそこへの対処に
知恵を出して実際に動くこと。

 

AIが向く場面。
RPAが向く場面。
Excelで十分な場面。
仕組みをつなぎ直す場面。
そして道具を使わず
仕事の順番を変えるだけで済む場面。

 

これらのどれが適しているかを
しっかり検討することで、
得られる結果が変わります。

 

まず紙を1枚用意してください。
A4でもいいですができればA3のコピー用紙。

 

そして、自社の気になる部分の
業務フローを書き出してみてください。

 

仕事の並び。
そこで使われているシステムと担当者。
その人がめんどくさいと感じている作業。

 

AIがいいかRPAか他の仕組みか、
道具を選ぶのは、そのあとです。

 

自社の業務フローを
紙に書き出してみてください。

  • 書いてみたが、どこがボトルネックか分からない
  • 書き出そうとして手が止まった
  • 自社を同じように見てもらいたい

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お問い合わせ

現場と経営をつなぐDX部長
村上 郁 (むらかみ かおる)
支援内容 DX推進・IT活用の相談・伴走支援
組織づくり・人材育成の仕組み化
活動拠点 奈良県
営業時間 平日9時~18時
定休日 土日祝

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現場と経営をつなぐDX部長

                               
名前村上 郁
住まい奈良県

Profile

「ITを入れたのに、現場が動かない」——
その声を、製造業の中から
聞き続けて10年以上。

C言語エンジニアから
起業・倒産・再就職を経て、
今は中小製造業のDX部長として
現場と経営の橋渡しを
実務でやっている。