「あの人がいないと回らない」
そう言われる人が
あなたの会社にも
何人か浮かぶと思います。
私たちはその状態を
つい「頼りになる」と
褒めてしまいがち。
でも見方を変えると
それは仕事が
その人一人に付いている状態
なんですよね。
もしその人が辞めたら。
もしその人が倒れたら。
そのとき会社はどうなりますか?
目次
1. 私の4ヶ月待ちは「モノの詰まり」だった
2. 整備工場で起きている、別の詰まり
3. 本当の詰まりは、辞めたことではない
4. 全部の会話を録音してください
5. 気づいた日が、一番早い日
話は変わりますが
もうすぐ新しい車が納車されます。
契約してから
4ヶ月ほど待ちました。
なぜこんなに待つのでしょうか。
半導体の需給状況。
人気車種への注文集中。
部品と物流の混乱。
クルマは約3万点の部品で
できているそうです。
そのうち一つの部品の供給が
欠けるだけで
ラインは止まります。
つまり私の4ヶ月待ちは
「モノが揃わない」のが原因でした。
ところが同じ「待たされる」でも
モノではない深刻な原因があります。
2026年上半期。
自動車整備事業者の
廃業と倒産が
過去最多になりました。
半期で295件。
前年から4割ほど増えています。
(出典:帝国データバンク 2026年上半期報)
ベテラン整備士の退職。
整備士を目指す若者の減少。
人が確保できず
「入庫制限」まで起きているそうです。
車を預かりたくても
預かれない。
仕事はあるのに
受けられない。
私の4ヶ月待ちとは
原因が違います。
なくなったのは部品ではなく
「その人にしかできなかった仕事」です。

その人が抜けたら仕事が止まる。
だから技能を継承しよう。
若手に引き継がせよう。
ここまでは
経営者なら誰でも考えます。
でも中小製造業の採用の現場も
見ている私からすれば
こんなことも思います。
いっそ
定年などで辞めるベテランに
辞めてから外注してみたらどうだろう。
正社員では抱えられなくても
週1のスポット契約。
すべての人材を社内に
「抱える」前提を一度捨ててみる。
でも、
もし本当に外注できるなら
その仕事は会社の外に出せる
ということですよね。
だったらベテランが
辞めるときに外注に切り替えればよかった。
そもそも
本当の原因は
ベテランが辞めたことでしょうか。
違います。
本当の原因は
ベテランが現役のうちに
誰も聞きに行かなかったことです。
聞けなかった理由は
たいてい技術ではありません。

あの人、いつも不機嫌そうで
聞きにくいんですよね〜


昔、ぶつかったから話しづらい・・・。
こういう、
人と人の摩擦です。
その摩擦が
情報の流れをせき止めます。
そして人が抜けた瞬間
せき止められていたことに
初めて気づきます。
外注するのもだめ、
退職されるまでに継承もできない、
ではどうするか。
私の答えははっきりしています。
まずはベテランの全部の会話を
録音しておいてください。
ベテランと若手のやり取り。
現場での指示。
トラブル対応の電話。
朝礼での一言。
とにかく録っておく。
「聞けるかどうか」
気にするのをやめる。
ひととひとの摩擦があっても
録音は摩擦を感じません。
今すぐマニュアルにできなくても
いいのです。
音声さえ、素材さえ残っていれば
後からいくらでも引き出せます。
今のAIはかなりの高精度で
音声を文字に起こせます。
起こした会話から
よくある質問と答え(FAQ)を作れます。
手順書のたたき台も作れます。
「あの時ベテランが何て言ったか」を
後から検索できます。
マニュアルを作る時間が
今なくてもいい。
素材だけは忘れずに貯めておく。
これは
一人の頭の中身を
少しずつ会社の資産に
していく作業です。
ここで正直に書きますが、
これ、私自身のことでもあります。
私は会社でDXを進める立場です。
ITを導入し仕組みを作り
その運用もメンテも
私がひとりでやっています。
でもある日
ふと思いました。

私が倒れたら
どうなるのか。
マニュアルはありません。
手順は私の頭の中だけです。
私は現場のベテランの仕事を
「属人化」と言える立場では
ありませんでした。
推進している私こそが
一番の詰まりだったのです。
だから録り始めました。
展示会で来場者と交わした会話。
来社されたお客様に
デモをしながら話した内容。
定例のオンライン会議。
Plaud AIという小さな録音端末で
とにかく録ってます。
そのままシステムに登録することもあれば
販促資料やメールの返信に
参考として使うこともあります。
ただし
ひとつだけ守っていることがあります。
お客様の会話や個人名
特定の企業名は
わからない形に伏せて使う。
録った中身の扱い方によっては
承諾とセキュリティの問題があります。
信頼して話してくださった相手に
不安を抱かせては本末転倒なので
そこだけは線を引いています。
私の車は
あと少しで届きます。
部品はいつか届きます。
でも
人の頭の中にあるノウハウは
誰も届けてくれません。
『あの人』が辞めてから
録音を始めることはできません。
私が倒れてから
私の声を録ることも
できません。
だから
今日から録ってください。
聞ける状態になるを待つのではなく
聞かなくても残る状態を作る。
気づいた日が
一番早い日です。
同じ壁を感じている方
一度話しましょう。
| 現場と経営をつなぐDX部長 村上 郁 (むらかみ かおる) |
|
| 支援内容 |
DX推進・IT活用の相談・伴走支援 組織づくり・人材育成の仕組み化 |
|---|---|
| 活動拠点 | 奈良県 |
| 営業時間 | 平日9時~18時 |
| 定休日 | 土日祝 |