最近の若手は意見を言わない。
個性がない。
自分から前に出ない。
こう嘆く社長は多いです。
私も何度も聞いてきました。
でも本当にそうでしょうか。
数年前のことです。
ある製造業の2代目社長と話していました。
「うちの若手、会議で何も言わないんです。
褒めても、励ましても、変わらない」と。
私はその時、強い違和感を覚えました。
そういえば、と一つ思い出したことがあります。
会社を辞める若手に、退職の直前、話を聞いたことがあります。
すでに辞表は受理された後でした。
お好み焼き屋で、サシでした。
彼は、驚くほど雄弁でした。
自分の目に映ってきた景色を、次々に話してくれました。
あの人の、ああいうところが苦手だった。
あの時は、本当は嬉しかった。
会社は、もっとこうするべきだ。
意見も、本音も、全部持っていたのです。
言えばいいじゃないか。
そう思いますか。
言うわけがありません。
言う必要がないからです。
言っても変わらない。
そう思ったから、辞めるのです。
その小さな声を、拾ってこられたか。
問われているのは、私たちの方です。
2026年7月のある調査があります。
Z世代の62%がスマホ疲れを感じていました。
約7割が「SNSの時間を減らしたい」と答えていました。
理由は何か。
不特定多数から注目されること。
それ自体が心理的に疲れるのです。
不安、虚無感、劣等感。
投稿すればするほど、それを感じてしまう。
だから若い世代は、視線から離れたがっています。
「目立つこと」が、危険に感じる時代になりました。
ここまで聞いて、私は気づきました。
社長が「若手が意見を言わない」と嘆いている。
でもそれは「意見がない」のではありません。
「みんなの前では言いたくない」だけなのです。
では、若手は無視されたいのか。
違います。
みんなの前での注目はいらない。
でも、ちゃんと見てはほしい。
自分の小さな変化に、気づいてほしい。
求めているのは、それだけです。
その「ちゃんと見る」という行為。
ここに、すべてが懸かっています。
でもここで、多くの人が誤解しています。
それは、褒めそやすことではありません。
おだてあげることでもありません。
髪型や服装を褒めることでもありません。
そういう「その場の気分を上げる褒め方」は、すぐに底が割れます。
言われた本人が、いちばんよくわかっています。
「この人、本当は見ていないな」と。
そうではありません。
相手をしっかり見て、1ミリの成長を認める。
これだけです。
昨日できなかったことが、今日できた。
先週より、段取りが良くなった。
小さな工夫を、一つ加えていた。
その1ミリを、見逃さずに言葉にする。
これは「褒める技術」ではありません。
「相手をちゃんと見ているか」という、姿勢の問題です。
ちゃんと見てもらいたい。
これはZ世代だけの願いでしょうか。
違います。
50代のベテランも同じです。
中堅も、パートさんも、みんな同じです。
人は「ちゃんと見てもらえている」と感じた時、初めて安心して動きます。
Z世代は、それを言葉にしてくれただけなのです。
昭和の世代が、口に出さずに我慢してきたものを。
だからこの姿勢は、Z世代にハマります。
そして結局、全世代に効きます。
なぜなら、これは世代論ではなく、人間の話だからです。
私はかつて、ほめて育てる研修で学びました。
そこで養われたのは、1ミリの成長を見つける目です。
学んでみて、意外でした。
それは、褒めることではなかったのです。
相手をしっかり見て、小さな変化に気づく。
養われたのは、褒める技術ではなく、見る目でした。
最初は、半信半疑でした。
そんな小さなことを認めて、何が変わるのかと。
でも続けるうちに、はっきり見えてきました。
お客様への言葉遣いが、一つ変わる。
次工程への伝え方が、一つ変わる。
その小さな変化が、お客様の評価に表れる。
社内の雰囲気にも、伝わっていく。
1ミリは、1ミリで終わりません。
続けることで、1+1が2になるのではなく、複利で効いてくるのです。
一人の小さな変化が、隣の人に伝わる。
それがまた、次の人に伝わる。
見て、認める。
また見て、また認める。
これを止めなければ、組織の空気そのものが変わっていきます。
ここに、見えにくいボトルネックがあります。
多くの組織のしくみが、昭和のままです。
「もっと個性を出せ」
「もっと前に出て意見を言え」
「褒めてやっているのに」
この言葉は、若手にこう聞こえます。
「みんなの前で目立て」と。
それは彼らにとって、いちばん苦しい要求です。
人・しくみ・関係性。
この三つで組織は動きます。
人は、新しい世代に入れ替わりました。
しくみは、昭和のまま止まっています。
関係性は、世代の間で断絶したままです。
だから流れが止まる。
若手が黙る。
社長が「やる気がない」と誤解する。
全部、同じ一点で詰まっています。
社長。
もし今「うちの若手は積極性がない」と感じているなら。
それは若手の問題ではありません。
「ちゃんと見て、認める」という関係性が、組織の中で止まっているのです。
見るべきは、若手のやる気ではありません。
その手前で詰まっている、関係性の設計です。
1ミリの成長を、見ていますか。
それを、言葉にしていますか。
世代が変わった今こそ、この問いが効いてきます。
まず現状を整理したい方、お気軽にどうぞ。
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