新しいAIの話題を見ていると
落ち着かない気持ちになることがあります。
「もう、こんなことまでできる」
「まだ自分でやっているの?」
「使わない人は取り残される」
便利そうだとは思う。
でも自分にどう必要かを考える前に
とにかく触っておかなければと
気持ちだけが急かされる。
先日Facebookを開くと
Metaの新しいAI「Muse」を
歓迎する投稿が並んでいました。
Museは10月23日に
日本でも使えるようになったAIです。
頼みごとを伝えると計画を立て
メールの送信や予約といった作業まで
進めてくれます。
私もスマホに入れて使ってみました。
あることをMuseに
調べてもらいました。
返ってきたのは
調べた結果だけではありません。
相手への質問文面まで作ってあり
「承認すれば送信します」
という状態で待っていたのです。
実際に送信されたわけではありません。
そこは分けておきます。
ただ私は調べてほしかった。
相手に連絡するところまで
進めようとは考えていなかった。
人によっては
気が利くと感じるのでしょう。
私にはその先回りが
気味悪く感じられました。
あとで調べてみると
米国で気になる報道がありました。
Meta社内のテスト段階で
Museが承認なしにメールを
送ったことがある、というものです。
私が感じた気味悪さにも
理由があったことになります。
私はGmailやカレンダーを
Museにつないでいません。
つなげばメールを読まれる。
勝手に送られる。
予定を書き換えられる。
便利さより先に
そのこわさが立ちました。
自分が想定している範囲と
AIが手伝おうとする範囲。
そのずれを感じたまま
使い続ける気にはなれず
スマホからアプリを削除しました。
Museは危険だから使うな
と言いたいのではありません。
活用が進み
評価や使い方が見えてくれば
私はまた使うつもりです。
あらためて
自分の焦りの元を並べてみます。
Facebookに並ぶ歓迎の声。
「まだ使っていないの?」という空気。
先を走る人の成果報告。
どれも
他人の話です。
新しい技術に早く取り組めば
得られるものがあります。
仕事のやり方を早く覚えられる。
経験を発信できる。
新しい事業につながるかもしれない。
そのために時間やお金を投じ
やり直しも含めて
事業への投資として取り組む人がいます。
SNSで目に入る成果は
その投資の結果です。
一方で経営者は
日々の受注や納期への対応を
抱えています。
AIの活用が仕事になる人とは
新しいサービスを試す意味も
時間の配分も違って当然です。
気軽に試すこと自体が
悪いわけではありません。
ただ入口が気軽でも
任せた先で起きることまで
軽いとは限らない。
私が任せたのは調べ物でしたが
Museは連絡の一歩手前まで
進めていました。
焦りの正体は
他人の先行者利益を
自分の緊急課題と取り違えることです。
では社長が本当に急ぐべき課題は
どこにあるのか。
たとえば社長の確認待ちで
仕事が積み上がっている会社なら
まずどこで仕事が止まっているかを見る。
その詰まりを解くのにAIが役立つなら
試す理由があります。
止まっているところが分からないまま
新しいAIを入れても
何を任せるかが決まりません。
任せる中身が決まっていないAIは
こちらの想定を超えて
先回りを始めます。
新しいAIの話題を追うあまり
目の前の詰まりを見る時間が
なくなったら順番が逆です。
御社でいちばん仕事がたまっているのは
誰の机の上でしょうか。
新しいAIを見かけて焦ったら
登録する前に
一つだけ確認してみてください。
「これで、自分の何の困りごとを解決したいのか」
答えが出てこないなら
今日はそのまま閉じておいていい。
答えが出たなら次は
その困りごとが
社内の誰の机で止まっているか。
AIを試すのは
それを確かめてからで間に合います。
他人の先行者利益を
自分の緊急課題にしなくていいのです。
AIの前に、自社で何が止まっているのかを
言葉にしたい方は、一度お話しましょう。
| 現場と経営をつなぐDX部長 村上 郁 (むらかみ かおる) |
|
| 支援内容 |
DX推進・IT活用の相談・伴走支援 組織づくり・人材育成の仕組み化 |
|---|---|
| 活動拠点 | 奈良県 |
| 営業時間 | 平日9時~18時 |
| 定休日 | 土日祝 |