「AIを労働力にせよ」
日経ビジネス
2026年5月18日号の特集タイトルです。
AIエージェントの導入競争が
本格化している。
AIを単なるツールではなく
「業務を遂行する存在」として
組織に組み込め。
そういう話です。
紹介されている事例は
年間1万件超の調達業務を
AIで自動化した海外企業。
でも中小製造業の経営者が
これを読んだとき
頭に浮かぶのはたぶん

の一言だと思います。
記事の中で
AIを効果的に使うための
判断基準が示されています。
「反復性が高い業務」
「システムを横断する業務」
「高度な判断が必要な業務」
この3つの軸で
効果の出る業務を特定せよと。
一見もっともらしい。
でも私はここに
落とし穴があると思っています。
これは部分最適の発想です。
会社全体の生産性を
決めているのは
一番細い場所。ボトルネックです。
受注から出荷まで
いくつもの工程がある中で
全体の流れを決めているのは
一番遅い工程です。

そこ以外をいくら速くしても
全体の出口は変わらない。
たとえば
受注から出荷までの流れで
一番詰まっているのが
「営業と製造の情報共有」なら。
経理の反復業務にAIを入れても
納期は1日も縮まりません。
制約がどこにあるかを
見てからでないと
AIの正しい出番は決まらない。
ではボトルネックを
探ろうとすると
何が見えてくるか。
たいていの中小企業で
突き当たるのは
「情報が流れていない」
という現実です。

仲が悪い相手には聞けない。
すぐ怒る人には報告できない。
部門間で数字の定義が違う。
これは技術の問題ではなく
人と人の間にある摩擦です。
AIは賢いツールですが
流れていない情報を
勝手に拾ってはくれません。
パイプが詰まったまま
高性能なポンプをつけても
水は流れない。
制約を見る。
流れを通す。
その上でAIの出番を決める。
この順序を間違えると
「高いツールを入れたのに
何も変わらなかった」
という結末が待っています。
この「全体の流れ」と
「ボトルネック」の関係は
頭で理解するだけでは
なかなか腑に落ちません。
私はTOCの研修で
ダイスゲームという
シミュレーションを使います。

サイコロの出た目だけ
材料を次の工程に送る。
それだけのシンプルなゲームです。
でもやってみると
ある工程が詰まるだけで
全体の生産量が落ち
在庫だけが膨れ上がる。
忙しく動いているのに
利益が出ない。
その構造が
手を動かした10分で
体に入ってきます。
ある研修の参加者は
こう書いていました。

ルールをひとつ見直すだけで
格段に流れが良くなった

どこが詰まっているか
はっきり見えると打ち手が変わる

忙しく動いてたくさん作っているのに
利益が出ない理由がやっと分かった
以前このゲームに
知人を誘ったことがあります。
ゲームの説明を
聞いている最中に
その人の瞳がキラリと光って
とたんにメモを取り始めた。
どうしたん?と聞いてみたら

そうです。
こうなるとゲームの内容が
自分の現場にダウンロードされた
も同然です。
学びの吸収力がまるで変わる。
そのリアルを目の前で見て
私自身もTOCを推進する意義を
改めて感じました。
AIを労働力にする。
その方向性自体を
否定するつもりはありません。
ただ中小企業にとって
AIは「入れれば勝ち」の
魔法ではない。
まず自社の流れを見る。
どこが詰まっているかを知る。

その詰まりが
人の問題なのか
しくみの問題なのか
関係性の問題なのか
を見極める。
その上で
「ここはAIに任せられる」
「ここは人がやるべきだ」を判断する。
私はこの順序を
TOCをベースに一緒に考えます。
ボトルネックの見極めから
AIやAIエージェントの選定
導入から運用の定着まで伴走します。
まず現状を整理しましょう。
| 現場と経営をつなぐDX部長 村上 郁 (むらかみ かおる) |
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DX推進・IT活用の相談・伴走支援 組織づくり・人材育成の仕組み化 |
|---|---|
| 活動拠点 | 奈良県 |
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