今日の日本経済新聞に
気になる記事が出ていました。

IT導入補助金を受けた
企業8516社を分析したところ
1人当たり経常利益が改善したのは
43%にとどまり
過半数では減少していた、という内容です。
補助金の総額は2020〜24年度で3300億円超。
国が「生産性向上」を掲げて進めてきた政策として見ると
かなり重い結果だと感じました。
実は私自身、この補助金を2回使っています。
2020年に生産管理システム
2022年に会計システムの導入で活用しました。
だからこの記事は、他人事としては読めませんでした。
導入した当初は
「これで現場が変わる」
と本気で思っていました。
社長と二人で
「これはいい!」と盛り上がって決めたシステム。
でも現場の反応は、冷たかった。
時間がたつほどに
「あれ、何かが足りない」という感覚が
残っていったのです。
今から思えば
足りなかったのは「現場の理解」?
ではなく、私の役割に対する認識でした。
「導入することが役割」だと思っていた。
でも本来は現場の課題から始めて
その解決手段としてシステムを選ぶ。
企業内SIerとでも言うべき視点が
必要だったのだと、今なら分かります。
その答えを整理してくれたのが
エリヤフ・ゴールドラット氏の著書
『コミック版 ザ・ゴール3
チェンジ・ザ・ルール!』でした。

帯にはこう書かれています。
「デジタルの導入だけでは、利益につながらない。
なぜなら、なにもルールが変わっていないからだ」
読んだ瞬間、腑に落ちました。
システムを入れる前から
会社にはすでに「今のやり方」があります。
承認の流れがあり
情報の持ち方があり
判断の基準がある。
ITツールは、その上に乗るだけです。
前提となるルールが変わらなければ
結局は「今のやり方をデジタルに置き換えただけ」
で終わってしまう。
処理は速くなるかもしれない。
入力はラクになるかもしれない。
でも、それだけでは利益に直結しない。
今回の記事で示された
「中央値では改善が見えにくい」という現象も
私はこの構造から来ていると思っています。
誤解したくないのは
IT導入補助金そのものを否定したいわけではない
ということです。
中小企業がIT導入でつまずく理由として
「コストが負担できない」
「導入の効果が分からない」
「従業員が使いこなせない」
といった壁は、いまも確実に存在します。
補助金がなければ
そもそも踏み出せない会社は多い。
その意味では、制度の存在価値は本物だと思っています。
ただ問われているのは
「配った実績」ではなく「活きた実績」です。
制度側も近年は活用支援まで補助対象に広げています。
「入れて終わりでは成果が出ない」ことを
認識し始めているように見えます。
IT導入の成否を分けるのは
ツールの性能そのものではありません。
その導入をきっかけに
会社のルールを変えられたかどうかです。
情報が誰に、いつ、どう渡るのか。
誰が何を見て判断するのか。
どのタイミングで意思決定するのか。
現場で何を記録し、何を見える化するのか。

こうした「流れ」が変わらなければ
システムはただの置き換えで終わります。
TOC(制約理論)の考え方で言えば
制約を動かすには
まずルールを見直さなければならない。
ツールはそのための手段でしかない。
ITが本当に活きるのは
情報の流れが変わり
判断の基準が変わり
仕事の進め方そのものが変わったときです。
ツールを変えることではありません。
補助金でシステムを入れた。
でも現場の動き方は変わっていない。
承認の遅さも
情報の分断も
判断の曖昧さも、そのまま残っている。
もしそうなら
問題はツールではないのかもしれません。
その前提にあるルールのほうです。
私自身、補助金を2回使ったからこそ
いまはそう思っています。
補助金を使ってシステムを入れた。
でも利益につながっている実感がない。
そんなときは
「もっといいツールが必要なのか」と考える前に
一度立ち止まってみてください。
仕事の流れは変わったか。
情報の見え方は変わったか。
判断の速さは変わったか。
現場の行動は変わったか。
IT導入の本当の勝負は
導入の後にあります。
私は今
これまでに知り合った支援機関の方々や
中小製造業の方々
そしてITのプロフェッショナルの方々と
「ルールから考え直す」取り組みを始めています。
詳細はご報告できるようになった時点でお伝えしますが
中小企業でITの導入に悩みを抱えていらっしゃる方は
ぜひ一度、お問い合わせください。
| 現場と経営をつなぐDX部長 村上 郁 (むらかみ かおる) |
|
| 支援内容 |
DX推進・IT活用の相談・伴走支援 組織づくり・人材育成の仕組み化 |
|---|---|
| 活動拠点 | 奈良県 |
| 営業時間 | 平日9時~18時 |
| 定休日 | 土日祝 |