今日、こんな記事を読んだ。
「なぜ起こる?観光産業の人手不足…問題の本質は『人がいない』からではない!」(Wedge/2026年3月16日)
賃金が上がらない構造が人を集められない
原因だ、という内容だ。
なるほど、と思いつつ、
私の問いは少し違うところにあった。
賃金を上げて人を集める、という議論は
「人が必要である」を前提にしている。
でも私がまず問いたいのは、その手前だ。
その仕事、本当に「人を増やす」ことで
解決しますか?
少し前のことだ。
うちの会社で、長年勤めてくれた
スタッフが退職した。
現場はざわついた。
「あの人がいなくなったら回らない」
「早く補充しないと」
すぐに採用へ動いた。
でもそう簡単にはいかない。
なかなか人が決まらないまま、
時間だけが過ぎていった。
最初の数週間は、みんなで手分けして
穴を埋めていた。
大変そうだった。
でも誰も倒れなかった。
3ヶ月後。
その人がいない状態が、
まるでずっと前からそうだったかのように、
自然に回っていた。
結論から言うと、
あの退職者のポジションは、
ボトルネックではなかった。
ただし、これは結果論だ。
たまたまうまくいった、という話で
終わらせたくない。
TOCの視点で言えば、これは最初から「狙える」話だ。
退職が出たとき、補充へ走る前に一度問う。
「ここは本当にボトルネックか?」
その問いを持つだけで、判断の質はまるで変わる。
TOCという経営理論に
「制約(ボトルネック)の見極め」という
考え方がある。
工場でも組織でも、
全体の流れを止めているのは
必ず「一番細いパイプ」だ。
そこ以外をいくら強化しても、
全体のアウトプットは増えない。
「人が足りない」という声は、
現場から上がってきやすい。
でもその「足りない」が本当に制約なのかどうか——
そこを見極めずに補充へ走ると、
問題は解決しないまま
採用コストだけがかかる。
もちろん、本当に人手が足りていることもある。
穴埋めし続ける状態が長引けば、
残った人間が疲弊して、さらに辞める。
そのスパイラルは現実にある。
だから大事なのは「感覚で判断しない」ことだ。
「回らない」は感覚。
「ボトルネックかどうか」は、
少し観察すればわかる事実だ。
人が辞めたとき、
私たちは反射的に「補充」を考える。
それ自体は悪くない。
でも、その前に一度立ち止まって
問いを立て直してほしい。
「この人がいなくなると、何が止まるのか?」
「その”止まる”は、本当に全体の流れを止めるのか?」
「それとも、ただ”不安”なだけか?」
日本では「人を辞めさせる」ことは難しい。
だからこそ、退職という出来事は、
組織の筋肉を見直す
数少ないチャンスでもある。
「人手不足」を嘆く前に、問いを疑う。
それだけで、見える景色はかなり変わります。
あなたの会社で
「この人がいないと回らない」と思っている仕事、
一度、本当にそうかどうか、
確かめてみましたか?
| 中小製造業専門のIT参謀 村上 郁 (むらかみ かおる) |
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