
今日の月曜たくらみ会は前回の振り返りの意見交換でした。福井の靴屋さん、ザカモアのリリーから語られることはどれも衝撃でした。「MGの思想をそのまま取り入れようとしている」「人が辞めていくごとに作業を見直し拠点を減らしていった」などなど。中でも、「自分で給与を決めるのは大変なストレスもある」「これでいいのか常に考えている」というあたりは、自由闊達に意見をし合える環境でないとできないこと。まさに心理的安全性の高さを実感する話でした。
この「心理的安全性」という言葉、その真の意味を理解しないまま使われることも増えています。特に、「自由に発言できる環境」や「怒られない職場」程度に解釈され、本来の意義が伝わっていないケースも多いのではないでしょうか?
一方、マネジメントゲーム(MG)やTOCのダイスゲームなどの研修を体験すると、そこに登場する会社やチームは、自然と心理的安全性の高い環境になっています。なぜでしょうか?
この記事では、心理的安全性の本質を整理しつつ、研修を通じてどのように「話し合える土壌」を作れるのかを考えていきます。
「心理的安全性」は、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念で、「チームの中で、自分の意見やアイデアを安心して発言できる環境」を指します。
しかし、ここで重要なのは「単に発言しやすい環境」ではなく、「対話を通じて、組織の意思決定や成果につなげることができる環境」であるということです。
❌ 誤解 1:「何を言っても許される環境」
→ 心理的安全性とは、無責任な発言をしても問題ない環境ではありません。建設的な対話が求められます。
❌ 誤解 2:「仲が良ければ心理的安全性がある」
→ フレンドリーな関係があっても、業務の課題について率直に意見を言えなければ、それは心理的安全性があるとは言えません。
❌ 誤解 3:「心理的安全性があると衝突はない」
→ 実際には、心理的安全性の高い組織ほど活発な議論が生まれます。むしろ、意見の対立を恐れずに話し合えることが本質です。
マネジメントゲーム(MG)やTOCのダイスゲームは、経営シミュレーションを通じて意思決定の本質を学ぶ研修です。これらの研修を経験すると、「この場では自然と議論ができる」「遠慮なく意見を言える」と感じることが多いのではないでしょうか?
この理由を考えると、心理的安全性を高めるヒントが見えてきます。
MGやTOC研修では、単にゲームをプレイするだけでなく、その後の振り返りが非常に重視されます。
こうした問いに対して、参加者が自分の意見を言い、それを全員で検討する流れがあるため、安心して発言できる環境が作られています。
→ 会社の会議や日々の業務にも、このような振り返りの文化を取り入れることが大切です。
心理的安全性の低い組織では、「上司の意見が正しい」「経験がある人の言うことが優先される」といった空気が蔓延しがちです。
しかし、MGやTOCの研修では、MQ会計(意思決定に役立つ経営指標)やボトルネック分析を活用し、「数字」や「事実」に基づいて議論を進めます。
→ 感情論ではなく、データをもとに意思決定する習慣をつけることで、発言のしやすさが増します。
MGやTOCでは、経営者や新入社員、業種・職種に関係なく、全員が同じルールで経営シミュレーションを行います。このため、立場に関係なく意見を出し合う環境が自然と生まれます。
→ 現場でも、役職に縛られず、意見を出しやすい場作りが必要です。例えば、ブレインストーミングでは肩書きを外し、全員が平等に発言できる場を作るとよいでしょう。
「うちの会社は心理的安全性が低い」「そもそも話し合う文化がない」という場合、どこから始めればよいのでしょうか?
いきなり会社全体で改革を進めるのは難しいので、まずは少人数で話し合いの機会を作りましょう。
こうした小さな試みが、組織全体に広がる第一歩になります。
心理的安全性のある組織では、「自由に発言できる」だけでなく、「発言のルール」が明確にあります。
例えば:
こうしたルールを作ることで、ただの「言いたい放題の場」になるのを防ぎます。
心理的安全性を高めるには、上司や経営層が「聞く姿勢」を示すことが重要です。
こうした行動が、組織の文化を変えるきっかけになります。
心理的安全性とは、単なる「発言しやすい環境」ではなく、「組織の成果につながる対話ができる環境」です。
MGやTOCの研修が示すように、フィードバックの仕組み、データに基づく議論、フラットな関係性が重要なポイントです。
まずは、小さな「話し合いの場」から始め、ルールを決め、経営層が率先して実践することで、心理的安全性のある組織を作っていきましょう。
中小製造業専門のIT参謀 村上 郁 (むらかみ かおる) |
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