先月複数のメディアが報じたニュースです。
国内のIT企業が
オンライン面接を実施したところ
面接後に担当者が違和感を覚え、
応募書類に記載されていた
エンジニアの吉井健文さんに確認を取りました。
吉井さんは「面接を受けていない」と回答。
自分の顔と経歴が無断で使われた
なりすましだったことが明らかになりました。
なりすました側の正体は現在も不明です。
北朝鮮のIT技術者ではないかという
専門家の指摘はありますが
確認はされていません。
(出典:NHK 2026年4月11日/朝日新聞 2026年3月9日/
Business Insider Japan 2026年3月19日)
このニュースに触れた時の私の感想は

ついに来たか
でした。
いつかは国内でも起きると
思っていましたがこんなに早くとはね。
私は新免鉄工所で採用を担当しています。
ニュースを聞いて最初に思ったのは
「ますます実物に会わないといけない」
でした。
でも非常に残念にも思いました。
なぜなら
オンライン面接には
身体が不自由な方や
何らかの事情を抱えた方が
社会とつながれる役割があります。
貴重なライフラインとなります。
悪用があるからといって
その可能性ごと閉じて欲しくない。
だからとても悔しくてなりませんでした。
新免鉄工所では必ずリアルで面接します。
ひとつは仕事の性質からです。
現場作業が必須の工場という職場
オンラインで完結する仕事ではありません。
でもそれだけではありません。
対面にはオンラインでは拾えない
情報がいろいろあります。
人に何かを伝えるとき
使うメディアによって
届く情報の量と質が変わります。
文字より音声、
音声より画像、
画像より動画、
動画より対面。
この順に伝わる情報は豊かになります。
(Daft & Lengel(1986年)の研究より)
この研究では
対面がもっとも情報量が多い理由として
4つを挙げています。
その場で即座に反応を受け取れること。
表情・視線・姿勢・声のトーン・身振りなど複数の手がかりが同時に届くこと。
感情やニュアンスを自然な言葉で伝えられること。
個人としての存在感が伝わること。
今回のなりすまし事件でも
担当者は「日本語と反応速度がずれている」
「顔の動きと声がわずかにずれている」と
複数の手がかりから違和感を覚えました。
これはまさにこの理論と一致しています。
実際に会うと見えてくるものがあります。
カメラ越しなら話せる人が
実際に顔を合わせると目も合わせられない
そんな場面を何度も経験しました。
当社の仕事では自分の意思を
はっきり伝えないといけない場面が
数多くあります。
たとえば大きな鋼材をクレーンで運ぶとき
危険を感じたら
「危ない!」
「気を付けろ!」
と叫ばないといけません。
そうしないと聞こえないし伝わらない。
常に周りの人や物の動きを見て
状況を判断し続ける仕事です。
相手の解釈に期待するコミュニケーションでは
通用しない現場なのです。
本人も気づいていない「素」が
対面では自然ににじみ出ます。
それは画面越しではなかなか見えません。
私がIT活用を進めるのは
効率化のためだけではありません。
情報をどのツールでどう流すか
その設計が
組織の判断の質を変えると
思っているからです。
メールで済む話があります。
チャットで済む話もあります。
動画で見せるべき話もあります。
そして対面でないといけない話もあります。
採用はまさにその最たる場面です。
AIがなりすませる時代になったからこそ
対面の価値は下がるどころか
むしろ上がったと感じています。
採用面接をオンラインだけで
完結させていませんか。
※参考:Daft, R. L., & Lengel, R. H. (1986). Organizational information requirements, media richness and structural design. Management Science, 32(5), 554–571.
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