現場と経営の断絶を解く。
中小製造業のDX部長が書き続けるブログ

フィジカルAIが来ても日本の製造業が動かない本当の理由

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経済産業省が動いた。

 

2040年、フィジカルAI産業で
世界シェア3割超の獲得——
これを国家目標として設定したという。
(出典:経済産業省TechCrunch

 

 

製造業×AIロボット。
「現場のDXとは何か」——
この問いに直結するニュースです。

 

今、製造業の展示会に行くと
「AI」の文字を見ないことはありません。
ITの展示会ならまだわかるが
製造業の展示会でも、です。

 

 

一方で私が見ている
現場の景色は
少し違います。

 

 


欧米は「奪われる」、日本は「奪う相手がいない」

欧米では
「ロボットに職を奪われる」
という警戒感が強いですが
日本の現場感覚は違います。

 

奪われる人が、そもそもいない。

会話
求人を出しても応募が来ない。
ベテランは退職していく。
現場を回すだけで精一杯。

展示会でAIロボットを見て
「すごいですね」と言って帰る。

でも次の日、会社では
誰もその話をしない。

 

AIロボットを導入したら
自社はどう変わるか。
正直その絵が、描けない。
だから具体的な検討に進まない。

 

 

IT参謀会話

「うちには関係ない」——
そう思っている間に
欧米や中国の製造業は着々と
AIロボット化が進んでいく。

これが私の危機感です。

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壁は二層になっている

AIロボット導入の
最初の壁は経営者の頭の中。

 

「導入したらどうなるか」
の青写真を経営者が
描けない限り
導入に向けたスタートは切れません。

 

「いいですね」で終わる会話が
展示会で何度繰り返されても
会社は1ミリも動きません。

 

そして仮に「やってみよう」と
動き出したとき
次の壁が現れます。

 

データがない。

 

フィジカルAIはデータで動く。
そのデータが
ほとんどの現場に存在しない。

 

設計図がズレても
ベテランがその場で直す。
でもその修正は
設計にフィードバックされない。

 

Factory worker sharing operational information through digital workflow on laptop in manufacturing workplace to support faster management decision making

 

そのありかは頭の中や
デスクの紙の隅。
あるいは言葉にならない場所です。

 

これが暗黙知の正体です。
現場の知識はどこにも
記録されていない。

 

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音声から始める、という現実解

データを作るとき
キーボードで打ち込むのは
案外進まないんですよね。

 

今、私が推すのは
音声入力、つまり録音です。

 

音声を録音してAIに渡せば
データとして簡単に利用できます。
つまり文字起こしという壁は
AIでクリアできるんです。

 

NotebookLMやPlaudを
使ったことのある方なら
実感としてわかるはずです。

 

音声データも完璧ではないが
やらないよりは、はるかにいいですよ。

 

さらに製造業の現場に合わせるなら
アイカメラと音声の同時記録
これが今考えうるベストな
データのとり方です。

 

動作と言葉を同時に残し
動画AIで分析する。

 

ここまで揃って初めて
現場の暗黙知に迫れます。

 

調べてみると
動作分析のAIソリューションも
すでにいくつか出てきていますね。

 

動画をアップするだけで
手順書を自動生成するものや
動作のばらつきを
可視化するものまで。

 

ただしどれもまだ発展途上。
中小製造業がすぐ使える形には
なりきっていないのが現状です。

 

データの社外流出も
当然気になるところ。

 

日本の経営者が知らない間に
海外勢が製造業の暗黙知データを
狙っているとも聞きます。

データの漏洩対策
その答えは今のところ
ローカルLLMしかなさそうです。

 

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AIが間違えても気づける組織か

さて、しくみを整えたとして
次の問いが残ります。
AIの答えが間違っていたとき、
誰が気づくのか。

 

Factory leader standing alone in manufacturing workshop thinking about process improvement and workplace reform

 

気づけるのはベテランか
ベテランから学んだ人間だけです。

 

技術力のあるベテランがいて
音声データとAIのしくみがある。
でももうひとつ重要なものがあります。

 

「それ、違うんじゃないか」
と言える関係性です。

 

AIの回答を見た若手が
「これ合ってますか?」
とベテランに聞ける職場か。

 

ベテランが
「それは違う、なぜなら」
と答えてくれる職場か。

 

 

すぐ怒るベテランや
口の重たいベテランには
気軽に聞けない、つまり検証できない。

 

あるいは
「自分の価値が消える」
と感じて知識を出さない
人もいます。

 

こんな職場ではAIは育たない。
未来を担う人も育たない。

 

今、中小製造業に一番必要なのは
人間同士が間違いを指摘し合える関係性。

 

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あなたの会社の暗黙知は今どこにありますか

技術力のある人がいる。
音声とAIのしくみがある。
指摘し合える関係性がある。

 

この三つが揃ったとき
現場の暗黙知は初めて
組織の財産になります。

 

私がこれまで支援の現場で
向き合ってきた問いも
突き詰めればここに行き着きます。

 

人・しくみ・関係性。
どれかひとつでも欠けると
組織はうまく動かなくなります。

 

あなたの会社でベテランの「勘」は
今日も誰かの頭の中だけにありませんか。

 


「うちの会社、大丈夫かな」と感じた方へ。

 

今すぐ答えを出す必要はありません。
現状を一緒に整理するところから始めませんか。

 

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お問い合わせ

現場と経営をつなぐDX部長
村上 郁 (むらかみ かおる)
支援内容 DX推進・IT活用の相談・伴走支援
組織づくり・人材育成の仕組み化
活動拠点 奈良県
営業時間 平日9時~18時
定休日 土日祝

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現場と経営をつなぐDX部長

                               
名前村上 郁
住まい奈良県

Profile

「ITを入れたのに、現場が動かない」——
その声を、製造業の中から
聞き続けて10年以上。

C言語エンジニアから
起業・倒産・再就職を経て、
今は中小製造業のDX部長として
現場と経営の橋渡しを
実務でやっている。