生産性と社員のモチベーションが
上がる工場の作り方

教えて欲しいことと、教えるべきことの違いを考える

オススメ記事

LINEで送る
Pocket

「教えて欲しいこと」と「教えるべきこと」は、必ずしも一致しない――。

研修や教育の現場で、このテーマは重要な分岐点になります。特に、中小企業の経営者や研修担当者にとって、社員の「知りたいこと」を叶えることが目的となりがちですが、それが果たして会社の目標達成や業績改善に直結するのでしょうか?

 

昨年末、私が研修を担当しているとある企業で社長が幹部社員に向けて「自分たちが教えて欲しいことを村上さんに伝えるのも必要なんじゃないの?」とおっしゃったそうです。自分たちが学びたいことを学ぶ。これはとても大切なことですが、果たして社外から私のような外部講師を呼ぶ研修スタイルとしてはいかがなものか目

 

この記事では、「教えて欲しいこと」と「教えるべきこと」の違いを明確にし、なぜ後者にフォーカスすべきなのかを論理的に解説します。そして、どうすれば社員が「自分たちの手で業績を上げた」と実感できる研修をデザインできるのか、その具体的な考え方とアプローチを共有します。


1. 「教えて欲しいこと」の罠

研修において、「社員が興味を持つ内容」を優先することは一見魅力的です。なぜなら、社員のモチベーションが高まり、研修への参加意欲が上がるからです。しかし、以下の点に注意が必要です。

  • 業績改善につながらない可能性が高い
    社員が「知りたい」と感じる内容は、必ずしも企業の課題やボトルネックを解消する内容ではありません。例えば、効率的なツールの使い方や自己啓発的な話題が求められることもありますが、それが現場の具体的な問題解決に直結するとは限りません。
  • 問題を覆い隠すリスク
    社員が知りたいと考える内容が、実は問題の本質を避けるための「逃げ道」となっている場合があります。例えば、部門間の連携不足や非効率な業務プロセスなどの「痛み」を伴う問題を直視したくない心理が働くことも。

こうした背景から、「教えて欲しいこと」だけに焦点を当てる研修は、一時的な満足感を生むだけで、実質的な成果に結びつかない可能性があります。

 

 


2. 「教えるべきこと」にフォーカスする重要性

一方で、「教えるべきこと」にフォーカスする研修は、以下の点で本質的な成果を生み出します。

  • 企業目標と現場の課題をリンクさせる
    「教えるべきこと」とは、会社の課題や目標に直結した知識やスキルを指します。例えば、特定の業務効率を上げる方法や、売上アップに向けた行動計画の立案スキルなどです。このアプローチは、現場での具体的な成果として表れやすく、業績向上に直結します。
  • 痛みを伴う改革を促進する
    時には、不人気なテーマや指摘が避けられない場合もあります。しかし、その「触れられたくない部分」に踏み込むことで初めて、大きな変革が起こるのです。社員がボトルネックを認識し、自分たちの手で乗り越えた成功体験は、単なる「知識の吸収」では得られない深い満足感を生みます。

とくに後者についてはすでに実績があります。昨年実施した、とある新規顧客開拓策が功を奏し、年間売上の底上げに寄与しました。社員の皆さんも「これをやってなかったら今頃どんな業績になっていたか、恐ろしい」と口を揃えていました。こういう、「自分たちの手で」を増やしていくことも私のミッションです。


3. 両者を橋渡しする方法

とはいえ、社員の「知りたいこと」を完全に無視して「教えるべきこと」だけを押し付けるのは逆効果です。では、どうやって両者のバランスを取ればいいのでしょうか?

  • ニーズ調査の工夫
    事前アンケートで社員が知りたいことをリストアップしつつ、会社の課題とリンクする要素を探ります。「知りたいこと」と「教えるべきこと」の接点を見つけることで、双方にとって有意義なテーマを設定できます。
  • 問題意識を醸成する問いかけ
    研修の冒頭で、社員に「自分たちが今解決すべき課題は何か?」を考えさせる時間を設けます。このプロセスを通じて、問題の本質に気付かせ、学びの重要性を自覚してもらうことが可能です。
  • 行動計画に落とし込む
    最後に、研修で学んだ内容を基にした具体的なアクションプランを策定します。学んだ知識やスキルが現場で実践され、成果が見えることで、社員の満足感と会社の利益が両立します。

私はこの部分にTOC(制約理論)やMG(マネジメントゲーム)、MQ会計を織り込んでいます。会社の真の姿を見つめ、今本当にやるべきことは何か、を明確にするからこそ研修が実のあるものになります。

 

 


結論

私の研修の目的は、「知識を得る満足感」を与えることではなく、「社員が自分たちの手で業績を上げた」という実感を生むことにあります。そのためには、社員の「教えて欲しいこと」を受け入れる姿勢を持ちながらも、本当に「教えるべきこと」にフォーカスした内容を届ける必要があります。

 

皆さんも研修では、ぜひ以下のステップを実践してみてください。

  1. 社員のニーズと会社の課題を事前に洗い出す。
  2. 問題の本質に気づかせる問いを投げかける。
  3. 学びを現場での具体的な行動計画に結びつける。

この記事を読んで、「自社の研修をもっと成果に直結させたい」と感じた方は、ぜひご相談ください。一緒に、会社を次のステージへ引き上げる研修を作り上げましょう!

LINEで送る
Pocket

お問い合わせ

中小製造業専門のIT参謀
村上 郁 (むらかみ かおる)
支援内容 ランディングページの制作支援
ITシステムの構築・運用のサポート
活動拠点 奈良県生駒市
営業時間 平日9時~18時
定休日 土日祝

コメントを残す

           

中小製造業のDX部長

                               
名前村上 郁
住まい奈良県

Profile

17年間IT業界に身を置き
2012年製造業のWeb担当に転身。

2020年から新免鉄工所のDX事業部にて
社内外のDXを推進中。