
先日、大阪・関西万博に夜間券で行ってきました。
大屋根リングから内側を望む
パビリオンの展示は各国それぞれに工夫され、未来を感じさせる内容に胸が躍りました。
けれども、夜の会場を歩いていると、ふとこんな思いがよぎりました。
「この空間は、本当にすべての人にとって“優しい”ものになっているだろうか?」
この時期(4月中旬)は19時を過ぎると暗くなってきます。パビリオンや大屋根リングは照明で輝く一方、全体的には暗い感じがしました。
東ゲートから見た夜の大屋根リング
特に中心部に位置する静けさの森ゾーンは足元を照らす照明も控えめで、周囲の明るさも限られている。標識は美しくデザインされているものの、少し見つけにくい。これではお年寄りや目の悪い人には歩きにくいんじゃないかなぁと。
そしてスマートフォンの案内アプリは、スマホやアプリの操作に慣れている私でさえ、戸惑う場面が多々ありました。
EXPO2025Visitorsアプリでコインロッカーを探す
こうした体験から改めて感じたのは、ユーザー体験(UX)を本当に豊かにするには、現場に立つことが不可欠だということです。
いくら優れた頭脳を持つ人がデスクの前で仕様を考えても、実際の人の流れ、視線、動作、戸惑い、安心感といったものは、その場に身を置かなければ実感できないのだと感じました。
UXとは「便利さ」や「格好よさ」ではなく、“誰かにとってのやさしさ”や“気づかい”の集合体なのだと思います。
高齢の方、外国からの来訪者、子ども連れのご家族、デジタルに不慣れな方。
万博のように多様な人が集まる場では、「平均的な人」ではなく「多様な人」の存在を最初から前提にした設計が求められます。
たとえば――
夜間でも歩きやすい照明配置
迷わず進める高コントラストの案内標識
シンプルで直感的に操作できるアプリ
音声案内や多言語対応など、感覚を補い合う仕組み
これらは、どれも“現場で困っている人の姿”を知っていれば、自然と必要性を感じる要素です。
暗闇でメニューを見る
寒いのにホットがない自販機
いかにもな例のトイレ
DXを進めるためにはプログラミングやハードウェアも大切ですが、今の日本ではUXを重視することこそ必要なのでは、と思いました。UX設計をより良くしていくためには、以下のような視点が大切になるのではないかと私は考えます。
東ゲートでの通信速度低下が問題になったと報じられましたが、その後私が訪問した際には各キャリアの対応が見て取れました。
特に、何度も同じ情報を入れ直す必要があったり検索しづらいアプリは常に改善を続けて欲しいと思います。
大阪・関西万博は、未来を体験する場であり、同時に今の社会のあり方を映す鏡でもあります。
私たちがこれから築いていく社会が、誰にとっても心地よく、分かりやすく、歩きやすい場所であるために――
その第一歩は、「現場に立って気づくこと」から始まり、そして何より「すぐに動くこと」こそが未来を近づける力になる。
私はそう強く感じました。
中小製造業専門のIT参謀 村上 郁 (むらかみ かおる) |
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支援内容 |
ランディングページの制作支援 ITシステムの構築・運用のサポート |
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活動拠点 | 奈良県生駒市 |
営業時間 | 平日9時~18時 |
定休日 | 土日祝 |